ワインという飲み物は不思議な飲み物です。

ひとつにはワインベルトが存在すること。つまり、ぶどうを栽培できる国とできない国が存在すること。

もうひとつは熟成すること。清酒やウィスキーは家に寝かせておけば熟成するのでしょうか。しません。こんな不思議なものが世の中にあるでしょうか。

今回は、ワインの不思議を調べてみたいと思います。

出典:Pixabay.com

一説によれば、ワインの歴史は紀元前8,000年前までさかのぼれるといいます。

近代哲学の祖として有名な哲学者・デカルトは大のワイン好きで、「私は飲みながら考え、考えながら飲む」といったそうですが、「我思う故に我あり」よりも、ずっと人間らしいですね。

今回は、次のような目次で、ワインの不思議な特性をご紹介し、その特性をうまく管理しながら、なおかつコストダウンする方法を考えます。

ワインとは?

ワインとはぶどう果実を原料として醸造した酒類です。酒類を分類すると、次のようになります。

酒類の分類

   醸造酒    蒸留酒  混成酒  
 果実原料    ワイン ブランデー リキュール  
 穀物原料  ビール・清酒 ウィスキー・焼酎 リキュール  

蒸溜酒をつくるためにはまず醸造酒をつくって、それを蒸溜します。

ワインを蒸溜してできるお酒が「ブランデー」です。混成酒はどのタイプのお酒からもつくられ、お酒にハーブや果実などの成分を抽出したものです。

世界の主要なワイン生産地

世界の主要なワイン生産地は次のような国があげられます。

  • フランス
  • イタリア
  • ドイツ
  • スペイン
  • ポルトガル
  • アメリカ
  • カナダ
  • チリ
  • アルゼンチン
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • 南アフリカ
  • 日本

ワインの不思議

ワインは不思議です。

上にあげた生産地の中にイギリスやベルギーなどがありません。

これらの国でワインが作れないわけではありません。しかし、歴史上、イギリスなどの国では緯度の関係で気候が冷涼すぎてぶどうが栽培されてこなかった歴史があるのです。

またインドネシアやタイなどのアジア諸国も上のリストにありません。

こちらでも、伝統的にワインが生産されてこなかった歴史があるのです。ただし、最近では生産されるようになってきています。

ワインベルトの不思議

ワインベルトという言葉があります。下の図をご参照ください。

ワインベルトとは、北緯30~50°、南緯20~40°の、ぶどう栽培およびワイン醸造に適した地域のことです。

すでに述べた通り、ワインベルト以外のイギリスなどでは気候が冷涼すぎて、ぶどう栽培に適しません。

ぶどう栽培に適した気候は、年間平均気温10~20℃で、ぶどうの花の開花から収穫までの時期の日照時間が年間1,250~1,500時間、年間降雨量500~800mmという条件がついています。

出典:日本ソムリエ協会 教本

このワインベルトの中でも、それぞれの地域によってワインの特徴があります。

赤道に近い温暖〜高温地域では、アルコール度数が高く、タンニンが強め、酸は弱めのフルボディタイプのワインが造られます。

反対に、赤道から離れるほどにアルコール度数は低め、タンニンは弱め、酸は強めのライトタイプのワインが多くなります。

熟成の不思議

もうひとつ、ワインにはほかの酒類では見られない「熟成」という不思議があります。「熟成」は、日本酒やウィスキーにはありません。

ワインは熟成によって、ワインに含まれる成分などが時間とともに変化し、味わいに深みが出て、味わいや香りなどが複雑になります。

1年目のワインと10年目のワインでは、別の飲み物と言えるほど違います。

もちろん、ショップで購入するワインの多くは買ってすぐに楽しめるように造られています。

一般的なワインは、長くても3〜5年程度の保管が想定されています。ところが、上級のワインには30年~50年、場合によっては80年の熟成年数のワインもあります。

ワイン愛好家の多くが、金に糸目をつけず心血を注いでいるのが「熟成」です。お気に入りのシャトーから赤ワインを購入し、自宅のセラーで熟成するまで、じっくりと「その時」を待ち続けます。

ワインの熟成年数

熟成年数を表にしてみました。

ワインの種類一般的ワイン熟成期間上級ワインなどの熟成期間
ボルドー白(辛口)2~5年上級ワイン 3~10年
ボルドー白(甘口)2~5年上級ワイン 3~80年
ボルドー赤4~10年上級ワイン 5~50年
ブルゴーニュ白2~6年グランクリュ 4~80年
ブルゴーニュ赤2~8年グランクリュ 4~30年
シャンパーニュNV2~5年ミレジメ 4~10年
ロワール白2~5年 甘口 3~80年 
アルザス2~5年 甘口 3~30年
ラインモーゼル 2~10年甘口 3~80年
出典:日本ソムリエ協会 教本

50年も80年もの長い間に熟成するなんて不思議ですね。

ワインの管理

このように不思議なワインを熟成するためには、どのような管理が必要なのでしょうか。理想的な保存条件を見てみましょう。

理想的な保存条件

あまりに高温の場合、ワインは酸化が進んでしまい飲めなくなります。逆にあまりに低温では熟成を遅らせてしまいます。このため、激しい温度変化を避けなければなりません。

また、乾燥しすぎた環境ではコルクが乾き、コルクの気密性が損なわれ、ワインの酸化が進みやすくなります。

  • 温度は年間を通じて12~15℃
  • 湿度は70~75%(エアコンの風によるコルク栓の乾燥に注意)
  • 光は白色光の必要時のみ点灯できる暗所
  • 振動を避ける
  • 異臭のあるものと一緒に保管しない
  • 必ず横に寝かせる(ラベルは上に向けて)

ワイン熟成の秘密

ワインが熟成する秘密は、ワインの中に含まれる要素にあります。その要素は次のようなものです。

  • 有機酸の量 
  • アントシアン、フラボノイド、タンニンなどを含むポリフェノール類の量
  • 木樽熟成に由来するポリフェノール類の量
  • 残存糖分の量
  • アルコール度数
  • ワイン中のエキス分の濃縮度合い
  • 遊離亜鉛酸の量

これらの要素が高ければ高いほど、一般には熟成スピードは遅くなると考えられています。

熟成スピードを左右する事象

また、これ以外にも次のような事象が熟成スピードを左右すると言われています。

  • 移送手段とスピード
  • 発酵方法(開放タンク、密閉タンクなど)
  • 瓶詰時の熱処理の有無
  • 樽熟成を経た場合のその条件(樽の新旧など)
  • 輸送方法
  • 貯蔵条件

このようにワインはデリケートな飲み物です。ワインに適した管理が必要になります。

おすすめの保存方法

それではおすすめの保存方法を考えてみましょう。

個人で保存するならワインセラーがおすすめ

個人でワインをおいしく保存するためには、「ワインセラー」がおすすめです。最近は、低価格で普段飲みのワインを気軽にストックしておける12本入りや18本入り、また6本入りなどもお手頃な価格で出てきています。

ビジネスで輸入するのなら保税倉庫がおすすめ

ビジネスで輸入するのなら保税倉庫で保管するのがおすすめです。

「保税」とは関税の徴収が留保されている状態です。

保税倉庫では、場所は「日本国内」なのに「日本国外」の扱いを受け、貨物は外国貨物扱いです。このため、関税・消費税など、貨物に関するすべての税がかかりません。保管料は当然かかりますが、ワインが売れるまで税の支払いはかかりません。

さらに、保税倉庫内で通関処理から検品・加工・保管・出荷まですべて行うことができれば、輸送コストや流通時間を削減できます。

保税蔵置期間は、通関が承認された日から2年間とされていますが、延長も可能です。

まとめ

いかがでしたか。今回は、ワインの不思議について調べました。ワインベルトの不思議、そして熟成の不思議です。

ワインは管理が必要な飲み物です。ワインの管理のためには、個人にはワインセラー、輸入企業には保税蔵置場をおすすめしました。

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