ERコレットは日本のツーリングメーカーでも採用して、一般的に普及しつつあります。今回は、その互換性について、調べてみたいと思います。

出典:けいぼー

ERコレットとは

ERコレットの販売開始

ERコレットは、1972年にスイスのレゴフィックス社が販売を開始したコレットで、その後DIN6499として標準化されました。

ERコレットには、すり割りと呼ばれる縦方向の切り込みが入っています。チャック本体を外側からナット締めると、外から圧力がかかり、切り込みが閉じるて切削工具のシャンク部分を締めつけて保持します。

ERコレットの形状

このような形状をしています。

出典:けいぼー

ERコレットのメリットは?

取りつけが容易で振れが少ない

出典:レゴフィックス

把握できるサイズの範囲が広い

ERコレットはER8からER50までの8機種があり、切削工具は0.2mmから36mmまでの広い把握範囲があります。

高速・軽切削に適している

取り付け精度が高いため振れが少なく高速回転の軽切削に適しています。

ERコレットの課題

ERコレットが登場以来、世界中の機械工業界で広く使われるようになり、日本の多くのメーカーも採用して、商品化しています。

ところが、調べてみますと、問題点がないわけではありません。例えば・・・

すべてのメーカーがERコレットを採用しているわけではない

日本には多くのツーリング工具のメーカーがありますが、そのすべてのメーカーがERコレットを採用しているわけではありません。

むしろ、フライス盤・マシニングセンタ用のツーリング用チャックを開発したのは日本のメーカーの方が先だったのです。

早かった日研工作所のミーリングチャック

1業界最大手の日研工作所がミーリングチャックを開発したのは1963年。ERコレットが発売されるおよそ10年前のことです。これはフライス盤用チャックでしたが、マシニングセンタ用も開発されました。ミーリングチャックの登場により、ストレートコレット及びストレートシャンクエンドミルが開発され、日本だけでなく全世界の工業会の発展に貢献したのです。

出典:日研工作所

日研はその後、ERコレットチャックとよく似たスリムチャックとSKコレットを発売しましたが、ERコレットとの互換性はありません。下の表にまとめました。

【まとめ】ツーリングメーカーとERコレットの互換性

ちなみに、どのようなメーカーが採用しているかを表にしてみますと、

メーカーツーリング本体名コレット名  画像     テーパ角ERコレットとの互換性
日研工作所スリムチャックSKコレット なし
大昭和精機ニューベビーチャッ
ク            
ニューベビーコレット 12°なし
NTツールコレットホルダFDCコレット

16°/12°なし
アルプスツールコレットホルダARコレット16°
ユキワ精工スーパーGIチャックEYコレット 16°
MSTコーポコレットホルダスプリングコレットなし
聖和精機コレットチャックERコレット 16°
共立精機コレットチャックスプリング 16°
九州工具コチャッククンKERコチャッククン16°
出典:各メーカー様

このようにERコレットはすべてのメーカーで使えるわけありませんので、注意が必要です。

おすすめの記事