こちらは、商品を学ぼうのページです。

今回は題して、「BT・BBT・HSKシャンクをもう少し知りたい」です。シャンクについてはなんとなく分かるのですが、HSKとなると、いまひとつ不明ですし、2面拘束もよく聞く言葉ですが、意味が良くわかりません。もう少し知りたいと思います。

出典:pixabay.com

そもそもシャンクとは?

出典:けいぼー

こちらの図は、一般的なマシニングセンタにおけるツーリング工具の構成を図式化したものです。シャンクというのは、ツーリングのテーパ部分で、この勾配は7/24で、16°35 ′39″になります。

シャンクは工作機械の種類やメーカーによって、さまざまな規格があります。工作機械の主軸よって、取り付けのできるシャンクの規格が決まっており、互換性がないものも多いので、新しいツーリングシステムの導入には注意が必要です。

マシニングセンタで一般的に使われる、ATC(工具自動交換装置)に対応した「BT」「BBT」「HSK」について見てゆきますが、でもその前に、汎用フライス盤の「NT」から見てみましょう。

NTシャンク(NTシャンク=ナショナルテーパシャンク)

ナショナルテーパは、自動工具交換装置(ATC)がついていない汎用フライス盤、もしくは中ぐり盤で使われるテーパシャンクです。(汎用フライス盤は下の絵のような機械です)

ナショナルテーパのホルダにはプルスタッドボルトはついておらず、引きネジ方式です。雌ネジがついたナショナルテーパを引きネジで引っ張って締めつけ固定する構造のツーリングです。

NTシャンクもBTシャンクも、テーパ部分の長さが24mmごとに径が7mm減りますので、7/24テーパシャンクともいいます。

実際には、NT30とかNT40というように呼びます。数値はテーパの大きさを表していますので、工作機械の仕様に合わせてツーリングを選択しましょう。

出展:日経クロステック

NT30、NT40、NT50とは?

NTシャンクにしても、BTシャンクにしても、BBTシャンクにしても、よく「30番」、「40番」、「50番」という言葉、あるいは、NT30、NT40、NT50、またはBT30、BT40、BT50という言葉を聞きます。この番号は何でしょうか。

出典:けいぼー

30番、40番、50番は、機械の主軸径のことです。それぞれ、30mm、40mm、50mmなので、そう呼んでいます。

30番=小型、40番=中型、50番=大型、となります。

正確には次のような数値になります。

30番 ΦD31.75mm

40番 ΦD44.45mm

50番 ΦD69.85mm 

BTシャンク(BTシャンク=ボトルグリップテーパシャンク)

ボトルグリップテーパは、マシニングセンタや複合加工機などATC(自動工具交換装置)がついている工作機械で使われるテーパシャンクです。

テーパの先端に引き込みボルトとしてプルスタッドボルトが付きます。

マシニングセンタ用としては種類が最も多いテーパシャンクです。

下の図をごらんください。BTシャンクのフランジ部には、ごくわずかですが、スキマがあります。このためBTシャンクは機械本体とはシャンク部の1面のみで密着していますので、BTシャンクは1面拘束と呼ぶことがあります。

出典:けいぼー

BBTシャンク

この方式は、大昭和精機が独自に考案したものですが、今では多くのメーカーが追随しています。

絵を描くと次のようになります。BBTシャンクは、2面が同時に密着するので、2面拘束と呼ばれます。2面とは、テーパ部とフランジ部の2面です。

BTシャンクとBBTシャンクには取り付け互換性がありますが、2面拘束の機能を発揮するには、「BBT対応主軸」と「BBTシャンク」の組み合わせが必須になります。

出典:けいぼー

HSKシャンク

HSKシャンクはこのような形状をしています。

出典:ウィキペディア

また、HSKシャンクの2面拘束、次のようになります。

出典:けいぼー

ATC が可能なマシニングセンタは 1958 年にアメリカで開発されました。ところが、1969年、日本は世界に先駆けて ATC 用テーパシャンクの業界規格として「BT シャンク」規格を制定したのです。そして、その後、世界シェアを50%も取るような存在にまでなったのです。

海外では、1978 年にアメリカ、1979 年にドイツ,そして 1983 年に国際規格の ISO 規格シャンクが制定されました。

開発国であるアメリカが規格化に遅れたのは、当時 28 種類ものメーカ規格が乱立していたので、標準化が難しかったためと言われます。また、ヨーロッパでは固有のメカ技術が進んでいたため「NC だけが未来のすべてでない」といった考え方の影響で立ち遅れたようだ、と大昭和精機の蝦草裕志氏は語ります。

HSKシャンクは、ドイ ツ語Hohlschafte-Kegel(中 空 シ ャン クーテーパ)の頭 文字 を とった 呼 び名 で、ドイツで開発されたものです。アーヘ ン工科 大学 が中心 に な って開発され、1993年 か ら1994年 に かけ てDIN規格が発表 されました。(参考までに、英語ではHollow Shankとなります)

テーパー(円すい部分)の勾配角度が「1/10テーパ」になるようにつくられています。また中空のため遠心力の影響を受けにくく、高速加工にも対応可能です。

【まとめ】ツーリングメーカー比較表

それでは、最後にこれまで見てきたシャンクに関して、日本のツーリングメーカーの比較表を作成してみましょう。ネットで調べた範囲で書いていますので、もし間違いや漏れがあればご容赦ください。

メーカーBTシャンク名称BBTシャンク名称HSKシャンク名称
日研工作所BTNBT/MBTHSK
大昭和精機BTBBTHSK
NTツールBTNBT-AHO/WBT-AHOHSK
アルプスツールBTHSK
ユキワ精工BTBBTHSK
MSTコーポBTHSK
聖和精機BTBBT
共立精機BT
九州工具BTHSK
おすすめの記事