けいぼーです。今回は電子書籍「貿易社長の教え〜国際ビジネスの交渉術100の基本〜」のご紹介です。

まえがきから
国際ビジネスを成功させたい
・現場で使っている効果的な英文が知りたい
・外国人との交渉をもっとうまくやりたい
・中国人との交渉術を知りたい
・国際ビジネスで購買や販売の担当者になった
・自己流で交渉してきたが基本を知りたい
・自社で輸出入ビジネスの開始を検討している
この本はこのような方々のために執筆いたしました。
国際ビジネスの仕事をしていると、一瞬一瞬が交渉の連続です。交渉をしていない瞬間がないほど交渉しています。
ところが、多くの方が交渉術について深く考えていないのが現実です。
今回はわたし自身の40年にわたる貿易実務経験と、ふれあった多くの先輩や国内外の取引先企業の方たちから学んだことを100の基本としてお伝えします。
この本はどこから読んでも理解できる構成にしております。
誰にとっても読みやすいことを目指し、一つの項目を一分から二分程度で読めるようにまとめました。業務のあいまにパラパラと目を通すことができます。
第1部は
交渉を理論的な側面から見ていきます。貿易交渉の初心者の方にとっては入り口に、ベテランの方にとっては新しい気付きになるように執筆いたしました。
第2部は
国際ビジネスに必須の英語の交渉術です。具体的な英文を例に説明いたします。効率の良い言い方、一工夫ある言い方など、実務ですぐに有効活用いただけます。
第3部は
貿易ビジネスパーソンの多くが関わる中国人との交渉術です。中国人の高度な交渉術や合併事業で考えておくべきことなどをお伝えします。
第4部は
輸出代金回収のための交渉術です。
債権回収の方法から、未回収問題を抱えにくい体質を作る方法をお伝えします。
どうぞご興味のある話題からお読みください。
そして一読したあとも、しまい込まずにデスクに置いてボロボロになるまで使い込んでください。仕事中はいつも携行してください。
「このメールの返信は、どう返そうかな?」
「さっきの交渉、あれで良かったのかな?」
そんなときにサッと開いてください。
気づきがあったらどんどん書き込む。それを1年も2年も続ければ、本書はあなただけの最高の貿易バイブルとなります。本書があなたの国際ビジネスを成長させることを願っております。
第1章と第2章から抜粋
第1部 交渉の理論的側面
最近の世界の政治家の世界では、恫喝的交渉術がひとつの大きな潮流です。ところが、交渉術について書かれた書物で、この恫喝的交渉術を礼賛しているものは1冊としてありません。私たちはこの恫喝的交渉術についてどのように考えるべきでしょうか。
第1章 恫喝は交渉術か?
恫喝的交渉術について、まずは個人的体験から書き起こしてゆきましょう。
001 恫喝は交渉術か?
恫喝というと、どうしても思い出すことがあります。かつて会社の中に「恫喝」のうまい上司がいて、社内で歩いている人を呼びつけて、「恫喝」していたことです。「恫喝」といっても、きつい内容ではないので、「恫喝」されているとは感じません。
この上司の目的は、大声で怒鳴ることによって、周囲に緊張感を与えることでした。これなどは恫喝された本人は傷つかず、周囲は仕事に励むという見事な交渉術です。この人の真似をしようと思いましたが、ついに真似できませんでした。
似たようなタイプで「武闘派」とよばれた上司もいました。昔から空手をやっていて立派な体格をしています。ところが、体格は威圧的なのに、しゃべり方はとてもマイルドなので、その落差が魅力でした。ところが、何かがあると、「恫喝」が始まるのです。
この場合は、一種の恐怖政治的交渉術でした。このような「恫喝」ができる人を羨ましいと感じ、自分もやってみたいと思い、一回だけトライしました。しかし、全くうまくゆかず、ついに断念しました。
002 交渉術とは協調して、Win-Winをめざすこと
一回だけトライした恫喝とは、支払いの悪い顧客に対してしたことです。ところがあまりに脅しすぎたため、上司に通報され、たっぷり絞られました。恫喝は間違えると、とんでもないことになるという教訓を残しました。
その後、恫喝は交渉術のひとつではあるけれど、訓練して術を会得できるものではなく、天性のセンスが必要だと思うようになりました。また、目指すべきはリベラル派であり、「交渉術とは協調して、Win-Winをめざすこと」と考えるようになりました。
003 ときには「荒っぽい態度」も必要なときがある
「交渉術とは協調して、Win-Winをめざすこと」とは言ったものの、長年やってきますと、物事はそれほど単純ではありません。ときにはWin-Winの思想だけではその場を乗り切れない場面にも遭遇することがあります。
例えて言えば迷惑電話のようなものです。海外から英語で執拗に売り込みの電話をしてくる場合があります。こういう人たちと協調しても、何も得るものはありません。すぐにも拒絶すべきです。どのように拒絶すればよいでしょうか。
004 英語での断り方
海外から英語で執拗な電話に対しては、一番簡単なのは、「No. Thank you.(結構です)」。あるいは、「I am not interested.(興味ありません)」とか、「Please don’t call me again. (二度と電話しないでください)」などと、断固とした態度で断ることが必要です。
場合によっては、「I am going to talk to my lawyer.(弁護士に相談しますよ)と言ってもいいでしょう。そういう英語の売り込み電話を断るのに「I don’t have enough money.(今はお金がないない)」と言うのは断りの理由になりません。「支払いは後でいい」とか「金がなければ貸してやろう」とか話がつながってしまいます。
断固とした態度で断り、ときには荒っぽい態度も必要です。

第2章 1対1の交渉術
この章では1対1交渉術について考えてみましょう。よく海外旅行をしていて、本当は買いたくないのに、相手の交渉術に乗せられて、つい買ってしまう場合のことを、考えてみましょう。どのような交渉術があるでしょうか。
005 「対比効果」による交渉術
街の中で突然声をかけられます。ある商品が日本円で5千円だと言います。「高いよ」と答えると、「半分の2,500円でいい」と答えます。「まだ高い」というと、「端数を切り捨てて2千円でいい」といいます。ついに2千円で買ってしまいました。
これは対比効果による交渉術です。交渉の舞台において、2つの選択肢を提示されると、当然、その2つを比較し、2つの対比が大きい時、金額の小さい方を選びたくなる気持ちが生じます。本当は2千円でも安くないのに、相手の交渉術に乗ってしまいました。
006 「二者択一法」による交渉術
対比効果による交渉術にも似ていますが、選択肢を提示して、相手に選ばせることで「NO」という答えを選びにくくなるように持ってゆく交渉術です。二者択一は、価格だけとは限りません。あらゆる要素が利用できます。
例えば、アポイントの二者択一を提示されたら、どのように答えますか。本当はもう会うつもりはないのに、「この日とこの日のどちらが良いですか」と問われると、「NO」とは言えなくなってしまいませんか。これが二者択一法です。
007 「限定的勧誘」による交渉術
この方式はメールによる勧誘でよく見られます。この商品は「あなたにだけ限定で販売します」という類いのものです。あるいは、デパートやスーパーなどでの「タイムセール」などもこれに当たるでしょう。
後者の場合では、本当にその時間だけに限定された販売なので、問題はありませんが、前者の場合には、誰彼となく「あなたにだけ限定で」と声をかける悪質な場合もありますから、注意が必要です。
008 「バンドワゴン効果」による交渉術
バンドワゴン効果とは、人気のあるものや支持されているものに惹かれる心理を利用した交渉術です。例えば、ネットに書かれた「口コミ」です。多くの人が、「この店は美味い」といえば、「行ってみたい」と思います。
バンドワゴンとは、行列の先頭にいる楽隊者のことで、「バンドワゴンに乗る」とは時流に乗る、多勢に与する、勝ち馬に乗るの意味です。これを利用して、資料を提示しながら、「多くの方が利用しています」と誘導することができます。